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スパイ防止と拷問禁止と縁座制復活(大日本帝國憲法第二十三條)

枢密院帝國憲法制定会議憲法草案第二十三條 日本臣民は法律に依るに非ずして拿捕監禁及糾治を受くることなし

【枢密院に提出された草案第二十三條注解】

 本條は人身の自由を保証す。蓋し奴隷の俗は我が國に於いて、中古以来漸く其の風を絶ち、維新の後大令を下し、人身の売買を禁ずるに至て(六年)既に其の根を拔き、而して憲法に條を設けて之を防制するの必要なきことを得たり。

 但し人身の自由は警察及治罪の処分と密接の関係を有し、其の間分毫の余地を容るること能わず。一方に於いては治安を維持し罪悪を防範し、及び検探糾治するの必要なる処分をして敏捷強勁ならしむるに拘らず、他の一方に於いては各人の自由を尊重して其の界限を峻厳にし、威権の蹂躙する所たらしめざるは、立憲の國に於いて尤も至大の要件とする所なり。

 故に警察及び司獄官吏、法律に依らずして人を逮捕し、又は監禁したる者は之を処罰すること、私人より重からしめ(刑法二百七十八條、二百七十九條)、而して糾治の方法に至ては、亦之を警察官に委ねずして必ず之を司法官に訴えしめ、司法官又は警察官、被告人に対し罪状を供述せしむる為に凌虐を加うる者、及び司法官遷延して審理せざる者は、又重を加えて処断す(刑法二百八十二條、二百八十三條)。

 務めて周匝縝密の意を致して以て臣民を保護し、而して拷問及び其の他中古の遺制は、歴史上既往の事蹟として復た現時に再生することを得せしめず。漸くに人身の自由をして安固の塗轍に入ることの冀望あらしめたり。

 本條は将来の為に侵すべからざるの証明を與え、必然に実際の効力を期する者なり。

【枢密院に提出された草案第二十三條参照】

英(イギリス)大條約書第二十九條 一の良民も國の法律に拠り同列の正当なる裁判に依るに非ざれば逮捕繋獄せられ又は財産を褫奪(ちだつ)せられ法律の保護を剥奪するの刑に処せられ又は國外に追放せられ又は其の他の侵害を受け及び侵害せしめらるべからず。

仏(フランス)千七百九十一年第七條 何人も法律に定めたる場合の外又法律に指定したる程式に依るに非ざれば之を告訴し之を逮捕し之を囚禁することを得ず。又専横の命令を要求し之を伝え之を行い之を行わしむる者は処罰せらるべし。但し凡そ國民は法律の効力に依て召喚され或いは差押えらるる時は其の時之に服従すべし。若し之を拒むときは罪ありとす(千七百九十三年以後の憲法は末段を除きたり)。

白(ベルギー)第七條 人身自由は保証せらる。法律に掲げたる場合に於いて及び法律に示す所の規程に依るに非ざれば何人も糾治を受ることなし。現行犯を除くの外因由を注明したる法官の令状に拠るに非ざれば何人も拿捕せらるることなし。其の令状は必ず拿捕の即時若しくは遅くとも二十四時内に之を宣示すべし。

伊(イタリア)第二十六條 人身の自由は保証せらる○何人も法律に掲げたる場合に於いて及び法律に指示したる規程に依るに非ざれば逮捕せられ又は裁判所に勾引せらるることを得ず。

荷(オランダ)第百五十一條 法律に定めたる場合の外に何人も理由を示明したる法司の命令に由るに非ざれば逮捕することを得ず。法司の命令は即時又は成るべきだけ速に逮捕せられたる者に宣示すべし。法律は此の命令の規式及罪人の糺治を受くべき期限を定む。

同第百五十二條 特別の場合に際し政府より荷蘭國民を逮捕せしめたるときは其の逮捕を命令したる者より即時に其の由を地方の法司に通知し且つ三日内に逮捕されたる人を送致することを要すべし。刑事裁判所は各々其の所管内に於いて本條の厳密なる施行を監視すべし。

普(プロイセン)第五條 人身の自由は保証せらる○特に拿捕処分に属する者に付いては法律に於いて其の何等の規程何等の約束を以て人身自由を制限し得べき款を定む。

墺(オーストリア)第一篇第八條 人身の自由は保証せらる故に人身自由に関る千八百六十二年十月二十七日の法律は此の根本法の一部を為す。凡そ法に違うて命令し又は淹久(註、えんきゅう-久しくとどまる)する所の逮捕は其の損害を被りたる者に対し國家より賠償すべし(抵抗を以て正当とするの條参照)。

仏(フランス)千七百九十三年権利宣告三十三條 横制に向ての抵抗は人の他の諸権利の結果たり。社会の一人たる社員にして横制を被るときは社会全体に対する横制とす、若し社会全体にして横制を被るときは各社員に向ての横制とす。

三十五條 若し政府にして人民の権利を破るときには騒乱は國民の為に及國民の各部の為に最神聖に最も缺くべからざるの義務とす。

【明治の自由民権運動を代表する交詢社系の郵便報知新聞社説私考憲法草案(カッコ内は交詢社の私擬憲法案)】

第七十二條 日本國民は現行犯罪を除くの外法律に遵て裁判官の発したる告状を示すにあらざれば之を拘引し若しくは其の家屋に侵入し其の物件書類を捜索し又は之を携去すべからず。(第七十三條「令状」「持去る」の外同じ)

第七十三條 日本國民は拘引の後四十八時間を出ずして裁判官の訊問を受くべし。もし其の時間を経過し裁判官告状を発して拘留せしむるにあらざれば之を釈放すべし。(第七十四條「令状」の外同じ)

第七十四條 日本國民は罪犯未決中保証人を設け相当の保証金を出して保釈を受るを得可し。(第七十五條 前半同じ。但し被告人の遁逃もしくは罪証を隠滅するの恐あるものは此限りにあらず)

第七十五條 日本國民は拷問を用いて自ら其の罪を白状せしめらること無かる可し。(第七十六條)

第七十六條 日本國民は其の族籍爵位を別たず同一の法律に依て其の自由権理の保護を受く可し。(第七十七條)

第七十七條 既往に遡りて施行すべき法律は制定すべからず又法律に提示せざる罰を施し或は法律を枉ぐることある可(べか)らず。(第七十八條 既往に遡りて施行すべき法律は制定すべからず。但し制定の法律に依て罪の軽減もしくは消滅すべきものは其の法律に従うべし)


 帝國憲法草案第二十三條は枢密院の審議によって「日本臣民は法律に依るに非ずして逮捕監禁審問処罰を受くることなし」と修正された。これが明治天皇の御裁可を得て大日本帝國憲法第二十三條となった。 

 枢密院帝國憲法原案第二十三條注解に引用されている刑法は、旧刑法(1880年法律第三十六号)であり、旧刑法第二百八十二條に相当する新刑法(1907年法律第四十五号)は刑法第百九十五條(特別公務員の暴行凌虐)である。

・私見-スパイ防止と拷問禁止と縁座制復活

 機密を保護しスパイを防止する法律体系の再生に反対する我が国の反日左翼勢力は、これに対する誹謗中傷として、特定秘密保護法の施行=治安維持法の復活=特高警察の復活=拷問の復活=戦前の復活(戦前への逆戻り)という等式を喧伝する。自民党の改憲案に対しても同様である。

 しかし自民党が本当に拷問の解禁を目論んでいるのであれば、それは「戦前の復活」ではなく、大日本帝國憲法第二十三條と戦前の新旧刑法の完全否定である

 スパイ防止法に反対する新聞社や知識人が本当にスパイ防止法の施行=治安維持法の復活=拷問の復活と考え、これに恐怖しているのであれば、帝國憲法第二十三條の立法趣旨である「これ皆務めて周匝縝密の意を致して以て臣民を保護する所以にして、而して拷問及び其の他中古の断獄は、歴史上既往の事蹟として復た(また)現時に再生することを得せしめず。本條更に之を確保し以て人身の自由をして安固の塗轍に入らしめたり。」(伊藤博文著憲法義解帝國憲法第二十三條解説)を実現するために、刑法第百九十五条および刑法第百九十六条(特別公務員の職権濫用による致死傷)の罰則強化を主張したらどうなのか。

 すなわち我が国は刑法第百九十五条の罰則を「七年以下の懲役又は禁固に処す」から「十年以下の懲役又は禁固に処す」に改め、刑法第百九十六条の罰則を「傷害の罪と比較して重い刑により処断する」(これは明らかに帝國憲法第二十三條の立法趣旨から派生した規定である)から「死刑又は無期若しくは十年以上の懲役に処す」に改めるのである。

 これでも拷問廃絶の実現に不十分であれば、我が国は、帝國憲法第二十三條の立法趣旨である「警察司獄官吏法律に依らずして人を逮捕し又は監禁し又は苛刻の所為を施したる者は其の罰私人より重からしめ、司法官又は警察官被告人に対し罪状を供述せしむる為に凌虐を加うる者は重を加えて処断す」(伊藤博文著憲法義解帝國憲法第二十三條解説)を更に徹底し、刑法第百九十六条に縁座制を導入し、同条二項に「前二条の罪を犯し因て人を死傷に致したる者(註、裁判、検察、警察の職務を行い又は之を補助する者および、法令に因り拘禁せられたる者を看守又は護送する者)の父母および配偶者および子は十年以下の禁固に処す」と加えればどうか。

 縁座制が国会議員や高級官僚といった国家権力に属している公人およびその家族以外の国民に適用されるのであれば、それは虐政であるが、公人およびその家族以外の国民に適用されないのであれば、それは必ずしも虐政とは言えないのではないだろうか。公権力者自身が公権力者を私人より苛酷に処罰するのである。我が国の縁座制について瀧川政次郎博士は次のように解説している。

 縁座および連座の制は、この時代においてもまた広く行われた。すなわち「御定書」以前においては、主殺しの重罪のごときは、その父母兄弟その他の一族までも処刑せられ、また火罪、獄門、磔に処せられた者の妻子のごときも、それぞれ刑に処せられた。

 元文二年(一七三七年)吉宗は、この縁座の法が戦国の遺風にして道理に背けることを悟り、自今以後百姓町人その外身分の軽き者共の間にあっては、主殺、親殺の外は、全然縁座の制を適用すべからざることを命じた

 「有徳院(吉宗)御実記附録」は、すなわちこの吉宗の英断を頌して(註、しょうして-ほめたたえる)「さればこれより先、重罪を犯す者は一族までも連座しけるが、この御時より刑科を省かせ給い、親子の間といえども、親の罪に子は坐し、子の罪に親は坐せざる事となりしとなり、」云々といっている。

 しかし武士階級の間にあっては、「御定書」以後にあっても、縁座の制は依然適用せられたのであって、死罪以上の刑に処せられた者の子は遠島に、遠島の者の子は中追放に処せられた

 従って寛政元年(一七八九)、松平定信は、この法の不条理、不合理なることを痛感してその修正を評定所に諮り、また文政九年(一八二六)、勘定奉行石川右近将監忠房は、評定所留役の川路左衛門尉聖謨の勧めよって、その停廃を幕府に進言したが、保守的な幕府の当路者はいずれも重大なりとしてあえて裁決を下さなかった(瀧川政次郎著日本法制史下149ページ)。


 筆者が思うに、戦国時代に縁座制刑罰が拡大し苛酷になった要因の一つは、それこそ朝日新聞社出身のソ連スパイ尾崎秀実のように自分一個の死を覚悟して諜報謀略破壊工作を行う者が日本全国に溢れ出て、実行犯のみに対する死刑は重罪を抑止する威力を喪失したからではないだろうか。

 因みに機動戦士ゼータガンダム第4話「エマの脱走」では、反地球連邦政府組織エゥーゴのクワトロ・バジーナ大尉(シャア・アズナブル)が戦闘を停止しない地球連邦軍ティターンズのパイロットに対し「家族ともども死刑になるぞ、停戦信号の見落としは!」と警告した。

 人類が大戦を送迎するごとに戦時国際法は進化するのだが、宇宙世紀の戦時国際法は、約55億人を死に至らしめた一年戦争を経て、我が国の戦国時代と同じ苛酷な縁座制刑罰を採用するに至ったようである。

 縁座制復活の是非はともかく、刑法第百九十五条(特別公務員の暴行凌虐)および第百九十六条(特別公務員の職権濫用による致死傷)の罰則強化を主張しない我が国の反日左翼勢力は、実は拷問復活の可能性に怯えていない。それは有り得ないと確信している。  

 ただ連中はスパイ防止法の制定や憲法改正あるいは日本国憲法無効・帝國憲法復元改正を妨害するために、「それらは拷問を復活させるぞ」などという真っ赤なウソを吹聴して無知な国民を脅しているにすぎないのである。

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龍井榮侍

Author:龍井榮侍
 東亜連盟戦史研究所は、主として大東亜戦争に関する国民の戦史知識水準の向上を目指して開設されました。

 弊研究所が確信する「正統戦史研究」とは、信用の置ける第一次史料を集め、史料に事実を語らせ、独自の史観を構成することです。だが第一次史料とて作成者の欺瞞、錯誤を含んでいるかも知れず、たとえ紛れもない真実を示していても、所詮それは膨大な歴史的事実のごく一部にすぎません。

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